太田さんっ、はぁはぁ…

いやあ恋ですかね。



きっと恋なんでしょうね。



9月ですしね。



それはセプテンバーラブなんでしょうね。



 



 



太田さんというのは先々月くらいに入ったバイトのハーフのJKのことだと思います。



第一印象は「JKブランド×ハーフ」の夢のコラボレーションだったんですけど、口癖が「マジッスカ」とか「ヤバイッスヨ」とか、なんかイッテQの出川さんかなってところもあって、逆にツボなのかもしれません…。



 



でも“仕事の時はビシっと!”がモットーの僕はやんわりと遠回しに伝わらない程度に、アレが良くないとかもっとこうして欲しいってアピールをするんですよ。



でもなんかそれが、相手にとっては、なんか、あれ?もしかして気がある?ってなるかもしれないですし。



 



 



でもそれがね、全然伝わらなくて。あわよくば屈曲してヨコシマなカンガエが伝わればいいなって思ってるんですけど、勿論伝わらない。



寧ろヨコシマなカンガエとか無いですし。仕事の時はビシっとしてますんで。



 



そんなこんなで太田さんの下の名前もよく覚えてないんですよ。



すごいハーフ顔なのに、なんか非常に日本の古風なアレで。シンイチローの女版くらいのレベルで古風です。



 



 



そんな彼女のことを想うと胸が痛いです。



ううん、彼女のことなんてぜんっぜん考えてないんだからねっ><



でも、なんだろ。胸が痛いんです。



生物学的にこれは「胸が痛い」でいいのかな?胸っていうか、胸のもうちょっと下。



ソコがアツくなって、カンジちゃうノ…。






 



 



けっこう引きずったけど太田胃散ね。うんうん。



胸というか、おそらく胃ね。胃が痛い。



 



ほんと辛い。



これが恋だったら生涯独身貫くよってくらい辛い。



でも病院行くほどでもない痛みってところが日を増すごとに辛い。



休みを潰してまで病院行くほどでもないし、休みになると不思議と痛みが和らぐの辛い。トーコーキョヒ予備軍みたいで辛い。



個包装の小さいパッケージの1ヶ月1箱のペースで使ってたから大きいの買ってきてもらった。6倍入ってるって。辛い。



 



今朝はフランケンシュタインがゾンビに咬まれてフランケンシュタインのゾンビになったような顔で出社して、休憩中に「辞めます無理です」とか言おうと思ったら、妙にすごい混んで良いお客さんがたくさん来てたくさん美味しいって言ってくださって、感極まって辛い。辛いに一文字足して幸せ。「一」みたいな薄っぺらの一枚に挟まれた辛いと幸せ。



飲食業ってクソ大変だし割に合わないことばっかりだけど、伝えようと思ったことを全部伝えた上で召し上がって頂くと味の奥行きも伝わったりして、なんか素敵。伝える術は言葉だけじゃなかったりして。



だけど、もっとたくさんの人に伝えたいけど、伝達する術を知らなかったりして。遠く離れた隣の隣の県からも食べる為だけに来てるお客さんも居たりして。



 



せいぜい一日三食。その中でも昼食と夕食って嗜好性があったりして。朝食は一日のエネルギーをチャージする感あるけど。



それを一日に何十食も作る仕事。



ただ生きることから紙一重外れた「非日常」を作る仕事。



 



太田さんが「シャーアセー」って迎えてもそこには非日常がある。



寧ろ太田さんの存在が非日常なのだ。



 



僕は太田胃散を3錠飲み込んだ。



3錠というか、3嬢なのだ。



そう認識することによって、底知れぬ高揚感を得ることが出来る。



 



 



今日も胃が痛い。



 



 



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